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第一章10
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| 噴火口 ハーロックは地殻変動の一瞬の隙をついて鉱山へと走り出した。もう有余はないのだ。次々と襲いかかるメタノイド兵はことごとくコスモドラグーンの餌食となって消えていく。片腕を落とされたヴェルセルークがそシームレス機の爆風と砂塵に包まれながらハーロックの後ろを見送った。それを白鯨のモニターから見ていたアルバが叫んだ。艦橋のアンドロイドが人工惑星の接近を確認しそれが砲撃を始める警告を示した。 [ヴェルセルーク様!どうか艦へお戻り下さい。地殻変動がいっそう激しくなっております。白鯨から鉱石採集をはじめなくては・・・。正体不明の人工惑星がこちらに接近しております!] 「アルバ・・・お前は白鯨を捨てろ・・・鉱石の採集など・・・無用だ!」 [ヴェルセルーク様!] 「アルバ!・・・お前はお前の生きたいように生きるのだ。所詮われわれはプロメノイドの消耗品にすぎない。即刻白鯨から離脱しろ!」 [ヴェルセルーク様・・・] 「我々は滅ぼされたのではない・・・。自滅したのだ。なぜなら・・・彼らに及ばなかったからだ!アルバ、いいか、良く聞け。髑髏の旗印を大宇宙で掲げる者は真の戦士だけに許される。戦士の銃を持つ者に無限の敬意を払うのだ!そして彼らのように自分の意志で生きろ!」 ヴェルセルークは機械の眼で白鯨を見上げた。彼の機械の眼はアルバの言ったとおり、巨大な惑星が大気圏外に接近しているのが見て取れた。さらに振り向くと大地をはいつくばいながら必死に人工惑星を操作しているトチローと、それを支えるホセの姿が眼に入った。 「・・・地球人・・・かつて私もお前達と同じ血の通ったヒューマノイドだった。だが、お前達の底力はわれわれバルザックにはそしてこの私には無かった。我々を自滅にまで追い込んだ地球人、キャプテン・ハーロック・・・ヤツの血を引く者・・・おそらくプロメノイドも・・・・かなうまい」 ヴェルセルークはきびすを返してハーロックが向かった鉱山の方へ走り出した。通信機から聞こえるアルバの静止を聞かず、鉱山へと消えていった。 人工惑星は白鯨に向けて砲撃を始めていた。そして白鯨も人工惑星へ砲撃を返す。白鯨の粒子ビーム砲は人工惑星を取り囲むように長い軌跡を引きずりながら人工惑星に衝突する。しかしトチローの技術の粋をつくした惑星は強力なシールドと岩盤によってびくともしなかった。 トチローは手元の操作パネルを必死に叩いている。ホセはそのトチローを引きずりながら少しでも安全な場所へと避難するので必死だった。白鯨と人工惑星の戦闘によって呼応したヘレスのコアによって大地に大きな揺れが走った。 「トチロー!ホセ!」 マヌエラが走った。走ったと言うよりは跳んだ様にも思えた。そして彼らに覆い被さるようにして倒れた。大地の破片が彼らをよけるかのように辺りへ飛び散った。彼女の身体から青白い炎のような煙がしみ出し大きなバリアを形成していたのだ。 「ホセ!アイアンロックの方へ避難して。もうすぐ大きな地割れがここまで来ます。鉱石の封印がもうすぐ解かれるの。もうここから旅立たなくては!」 「マ、マヌエラ!出て来ちゃイカン!」 「私に構わないで、速く!トチロー!無事にここから脱出して」 トチローはマヌエラを見た。マヌエラは太陽光の厳しくなりすぎたこの地で外気に肌を曝すことは自殺行為だった。彼女は目を潤ませながらホセとトチローを見つめていた。見れば地割れは飛び越えることが不可能なほど広がり、完全に小屋への帰路が絶たれてしまっていた。マヌエラはなおも青白い炎を上げている。彼女の決意を察したトチローはマヌエラに頷いた。よろよろとホセが呟く。 「もうダメじゃ。どうしたいいんじゃ・・・逃げる手段も失のうて・・・」 「諦めるな!俺は・・・最後の最後まで戦ってみせるさ。ハーロックが鉱石を見つけだすのを見守る。それが俺達の役目だ。こうなりゃもうやけくそだ!」 トチローは地割れの少ない場所をぬって以前小型飛行艇を停泊させていた仮ドッグ、アイアンロックへと走った。マヌエラは二人が走っていくのを見届けて噴火口へ向けて自らのエネルギーを向け始めた。青白い炎に巻かれた彼女は宙に浮かび、徐々に炎と一体になりつつあった。太陽光は惑星の地殻変動に呼応してエネルギーが放電し、いっそう暑く大地を照らす。その時だった。白鯨から鉱山に向けて主砲が発せられたのだった。 白鯨からの砲撃は鉱山の麓に大きな衝撃を与えた。鉱山の中は既に火の海。地中深くからマグマ様の液体がボコボコと音を立てて辺りに飛び散っている。高圧の蒸気が噴き出し、目を開けていられないほどの熱が立ちこめた。炎は辺りの岩をも焼き、灼熱のマグマの中から血のような赤色の柱が数本上がっては炎にうち消されて消える現象がハーロックの前で繰り広げられた。巨大な火柱はハーロックを威嚇している様だった。 【何をしに来た!・・・貴様は何者だ!・・・この封印はプロメノイド以外にとくことは許されない!】 さっきハーロックが聞いた声同様地中から呻くような声が聞こえたが、さっきのとは全く違う声だ。もっと低く、攻撃的でもある。 【立ち去れ!できぬのならばここで死ね!】 「貴様はヘルブラディか!」 【ここはお前のような下等生物にこの封印をとかせるわけにはいかぬ。ジ・プロメノイドがこの鉱石の持ち主なのだ!】 「プロメノイドだと・・・・!貴様はプロメノイドのエネルギー体!」 ハーロックは目の前の炎が天然の物ではなく、時折ココにやってきては去っていったメタノイド達によって作られたエネルギー体であることが分かった。エネルギー体の火柱は炎を吐きながらハーロックに攻め寄った。ハーロックはコスモドラグーンを構えたがあまりの熱さに照準を合わせることも出来ない。火柱は多くの首をもつ蛇のようにうねりながら方々からハーロックをつつき、いたぶるように攻めてくる。時折彼の身体に巻き付いては岩盤にたたきつける。まるでハーロックは人形の様に岩盤から転げ落ちた。意識が遠のく。 「中央の黒い瞳のある火柱の眉間をねらえ!ハーロック!」 ハーロックが何とか眼を開けるとそこにはヴェルセルークがショートした肩を押さえて立っていた。 【裏切り者!・・・貴様なぜ!・・・】 その時、ハーロックの左目は見開かれ、コスモドラグーンの閃光が中央に黒い眼のような影を持つ火柱にむけて発せられた。しかしそれと同時に他の頭の一つがハーロックにむかって突進してきた。しかしヴェルセルークが一瞬はやくハーロックを突き飛ばす。 「ヴェルセルーク!」 蛇化した火柱の一つは見事にヴェルセルークの首筋に噛みついた。胸に向けて鮮血がしたたり落ちる。まだ彼の首から胸に掛けての大半は生身のままだった。ヴェルセルークは片腕を失い、ショートを続けることで自分自身のエネルギーの大半を消耗していたが、生身の部分はそれを乗り越えるだけのエネルギーが残っていたのだ。火柱のエネルギー体は中心部を失うことでヴェルセルークの首に噛みついたままガラスの様に固まった。ヴェルセルークはそのまま体を動かすことは出来ない。 「ハ、ハーロック・・・。恐れるな・・・・・・お前なら出来る筈だ。あの鉱石を採ることが・・・そして生きてそれを使うことも・・・」 「ヴェルセルーク・・・どうしてこのようなことを」 「かつて我々は侵略によって移住の地を拡大していったが・・・愚かな地球人の中にも宇宙の独裁者に真っ向から立ち向かおうとする強靱な力を持った人間がいた・・・キャプテン・ハーロックがおろかなバルザック女王を滅ぼした男・・・故郷を失った私はヤツを憎んだ・・・それでも私はヤツがうらやましかった。そして恐れた。地球人は屈辱をバネに成長する力を持っている、今のお前がそうだ。私は・・・身体を改造することでしか強くはなれなかった・・・それが悔しい。そしてヒューマノイドのほこりを捨て、プロメノイドにひざまずき・・・捨て石であることに甘んじている自分が悲しい・・・」 徐々に大地の揺れが強くなってきた。ハーロックはサーベルでガラス状に固まったエネルギー体の塊を断ち切ろうとした、しかしヴェルセルークがそれを制した。 「もう時間がなさそうだ・・・ハーロック、本当の封印は真下にある。伝説では・・・次の地殻変動でマグマがふき上がったら1000年の封印がとかれる前兆だ。迷わずその中へ飛び込め・・・ヘルブラディの中心をサーベルで串刺しにするんだ。ふふ・・・不本意ながら、本当は私がそうする役目を担っていたのだがな・・・所詮、手に入れたところで使うことなど出来るわけがない・・・いや、もともと誰も鉱石の封印など解くことはできないんだ・・・」 ヴェルセルークは血まみれになっている生身の手でハーロックの肩をしっかり掴んだ。ハーロックの眼が、何処にあるか分からないヴェルセルークの機械の瞳をじっと見つめる。 「キャプテン・ハーロックが銀河から姿を消してからというもの・・・ヒューマノイドへの迫害はかつての勢いを取り戻しつつある。新しい高次元生命体プロメノイド・・・それがお前の・・・敵だ。・・・行け!ハーロック!お前には行く義務がある!」 ハーロックの肩をヴェルセルークの手が落ちていく。ハーロックは肩を滑り落ちるヴェルセルークの手を取ってしっかり握った。 大地の揺れは激しくなり、鉱山の地中深くからまたマグマがふき上がろうとしていた。 アイアンロックでは入り口に積み上がった岩を取り除き、トチローが無理やりその扉を開いた。ホセは内部に走っていくトチローの後を追う。地殻変動によって内部は散々な状況になっていたが、飛行艇が一機無事な状態で格納庫にあった。 「まだ無事だった!・・・無事に離陸できるか保証はないがな」 「マヌエラ・・・マヌエラはどうするんじゃ?」 「彼女は平気さ・・・ハーロックの守護者だからな。ヤツのために祈り続けるのが彼女の役目」 トチローは力無く笑った。コクピットにトチローが潜り込み、その後ろにホセが座った。地響きは仮ドッグの中を大きく揺るがし、徐々にコントロール不能な程になってきた。二人はハーロックの身を案じざるをえない。垂直上昇した飛行艇はそのまま小型ミサイルを発射し岩壁が吹き飛ぶと同時にエンジンを全開し、アイアンロックから飛び立った。トチローは飛行艇の中から人工惑星の武器をコントロールし、白鯨の攻撃から鉱山を守った。目の前に鉱山の噴煙が立ちはだかる。 「ハーロック・・・・!!!」 今まさにマグマが吹き出ようと・・・大きくえぐれた噴火口に立ちつくすハーロックの姿が目に入った。そして彼はサーベルを握りしめ、噴火口へ身を投げた。ホセが悲鳴を上げる。 「ハーロック!!!トチロー!ハーロックが噴火口にぃ!・・・・」 トチローは涙が出そうになるのをこらえながら飛行艇をヘレス鉱山上に旋回させた。 (・・・・・死ぬな!ハーロック。死ぬなよ・・・) マヌエラはハーロックの無事をひたすら祈り続けていた。彼女をつつむ青白い炎は彼女の生命力の低下と共に弱々しい炎へと変化していたが、徐々に炎と一体になり、その瞬間、噴火口へ向けて飛び立った。遠隔操作された人工惑星の攻撃によって大きな打撃を与えられた上、主人を失った白鯨は爆煙を上げて墜落し始めている。 炎に巻かれながらハーロックは地中深くへ落ち、赤黒い液体とも物体ともつかない部分へ到着していた。あらゆる場所で黒と赤が渦を巻いては緩む、まるで太陽の表面に立っているかのようだ。マヌエラの祈りによって、炎はハーロックを焼くことなく上昇していくのだった。それでもハーロックの度胸を試すかのように火柱がハーロックを威嚇し、彼の呼吸器は火傷を負い、息を吸うことがままならない。 【ハーロック強固な意志を抱いている人・・・・。安心して・・・私がついています。私は貴方に抱かれることで貴方と一つになれた。私の魂と貴方の魂のリンクが持てた】 「お前は・・・・マヌエラ!」 【そう、悲しみによって闇に怒り、憎しみを封印したのは私。この封印を解く者は・・・私が守護者となる人。さぁ、そのサーベルで貫きなさい。あなたの名の下に鉱石を跪かせるのです】 ハーロックはサーベルを両手で構えた。ハーロックの身体を流れる血潮が大きく脈打ち力がこみ上がった。ハーロックの身体を青白い炎が取り囲む。マヌエラの祈りの炎は強く燃え上がった。 「掌中に無限を収め、この一太刀によって永遠を掴む。我が名はハーロック!汝・・・髑髏の紋章に跪け!」 サーベルが赤黒い物体に突き立てられた。青い炎が激しく燃え上がり、悲鳴ともつかない声と同時にヘレス鉱山の麓からマグマが流れ出す。鉱山から吹き出たマグマは天高く吹き上がり、一瞬にして白鯨に無数の穴を開ける。白鯨はバランスを失って惑星ヘレスへと激突を余儀なくされた。一隻の小型戦闘機が脱出するのを飛行艇の中のトチローは見ていた。そして消滅していく惑星ヘレスの中から青い炎に抱かれるようにして眠っているハーロックとそれを取り囲んで砕けた赤黒いヘルブラディ鉱石がトチローの飛行艇の横を上昇していくのだった。よく見ると、かろうじて人の形をとどめているマヌエラがハーロックを抱きながら飛行艇を見つめていた。その時ホセの表情が青ざめた。 「マ、マヌエラ!おい・・・マヌエラじゃ!」 【ありがとう・・・トチロー、ホセ。・・・鉱石はあなた方のもの・・・これで新しい未来が開ける。私の帆炎をあなた方にあげる。トチロー・・・私は人としての心を失ってしまうけれど・・・この炎が鉱石のエネルギーとなるわ】 「マヌエラ!どういう意味なんだ!」 叫ぶトチローにマヌエラは一筋の涙を流した。彼女には分かっていた、もう人として彼らに会うことは出来ないのだということを。彼女は祈りを捧げることで彼女の生命力の全てをハーロックに与えた。それで満足だった。人間でなくなることで、人としての感情を失っていくことを強く感じながら 【宇宙へ旅立ちなさい・・・敵はアンドロメダに居る・・・・私はいつもあなた方の近くにいるわ】 マヌエラはそう言い残して目を閉じ、炎にその姿が溶けていった。マヌエラの姉がハーロックを産むことで命を落としたのと同じように、彼女も彼女の精神生命の全てをハーロックに与えることでその人としての生涯を終えていくのだった。 人工惑星・・・トチロー自慢の秘密工場とも言える人工惑星は蟹座星雲を徐々に離れていた。新星爆発以来、この周辺は多くの小惑星が存在している。この人工惑星はその外壁をうまく他の小惑星にとけ込ませ、ゆっくりと宇宙を浮遊しているのだ。ハーロック、トチロー、ホセ、を乗せたこの秘密工場は、外壁は小惑星を強力な重力で吸い付けているため他の小惑星と区別が付かない。驚くべき事に、この惑星には小太陽に森林、海といった自然がそのまま用意され、さらに居住スペースや倉庫が至る所に存在する。ただのドッグではなかった。 トチロー、ホセはこの小惑星から朽ち果てた惑星ヘレスを見つめていた。もはや宇宙の塵とかした無数の残骸が人工惑星をかすめていく。 「黄泉の国、蟹座星雲か・・・まったくもってその通りだな」 「共に働いて死んでいった仲間達は成仏しただろうか?」 「したさ。ホセ、お前さんは十分すぎるくらい仲間の側にいてやったじゃないか。そしてな、ハーロックが命がけで採ってきたヘルブラディ・・・あいつの中に生きているかもしれんぞ」 ホセは鼻水をすすってトチローに微笑んだ。その時、トチローは自分よりずっと歳の離れたこの老人が可哀想なくらい小さく見えた。何のためにアルカディア号を退艦させられ、惑星ヘレスにいなければいけなかったのだろうか・・・。ホセはしゃがみ込んで泣いた。トチローがその背中をポンポンと叩いた。 ホセとトチローの間にはカプセルの棺が二つ置かれ、一つにはマヌエラが首に下げていたペンダントが入っていた。 ハーロックは胸元に包帯を巻いた姿でゆっくり彼らに歩み寄ってきた。トチローが振り返るとハーロックは厳しいおもむきでカプセルを見つめていた。カプセル型の棺・・・それにはヴェルセルークがハーロックと共に戦ったサーベルが納められていた。 サーベルを頭の前に捧げると、トチローは胸元に手を、ホセは手に持った小銃を胸元に抱えた。 「プロメノイドの制圧に一度は屈したものの、最期にヒューマノイドの意地とプライドを通し抜いた男、ヴェルセルーク。俺はたとえ敵でも、立派に戦って死んでいった死者の魂に無限の敬意を表す。・・・来世で会うときは友として酒を酌み交わそう・・・さらばだ」 ヴェルセルークのサーベルを納めたカプセルは宇宙に向けて埋葬された。 「そして・・・最期まで俺達の夢のために祈り続けてくれたマヌエラ・・・俺達は決してお前のことは忘れはしない」 マヌエラのペンダントを乗せたカプセルも、もやは宇宙の塵と化した惑星ヘレスの残骸と共に、蟹座星雲の果てへと流れていった。古来から黄泉の国があると言われてきた銀河の墓場・・・へ。 「俺達は行かなければいけない場所がある。男なら、たとえこの先何が起ころうとも、果たさなくてはならない事があるならば・・・命がけでそれに立ち向かわねばならない。そうだな、トチロー!」 「あぁ、行こう。・・・俺達は自由に宇宙の海を旅する夢がある。それがかなうなら俺は何だってするさ。宿命から目をそらすことができないのなら、堂々と立ち向かってやろうじゃねぇか」 ホセはマヌエラの死に涙しながらも、ハーロックとトチローの背中をポンポンたたき、何度も頷いた。三人は甲板を歩き始めた。時を司る者が大志を抱いた者達の子孫に与えた時の環はすでにまわりつづけているのだ。彼らの旅はもう始まっている・・・・しかしそれは序章にすぎない。本当の旅のページはこれから開かれていくのだ。 その夜、ホセは遠のいていく蟹座惑星に向けて歌を歌っていた。 “行き止まり・・・行き止まり。可哀想な羊がいたよ。誰もいない・・・そこには誰もいないのに。 ひとり娘はどこにいったのか、あの子ををこの手に抱く事ができるのなら、私は貴方に祈りを捧げます。 故郷を離れるときは、故郷を離れるときは、泣きながら見送った・・・泣きながら。もう帰ることのない故郷よ。一人娘は何処に行ったのか、あの子をこの手に抱くことができるのなら、神よ、私は貴方に命を捧げます。” |
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