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ぷち・さだだ劇場6話
角刈りズム |
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第六話
角刈りズム ヤマトの航海は長い。よって髪ものびる。佐渡や徳川などは気にもしないが、まだ若いクルー達にとって、ヘアスタイルは大切。外交に顔を出すことの多い、古代や島、真田、雪、時に相原などは身だしなみという意味でも多少なりとも気を遣う。男はいかなる時も身だしなみが大切と祖母に言われた新米はともかく、山崎などは(なぜ機関長が二人いるのかとかは考えないで〜)、そのダンディズムがヘアスタイルの乱れを許さない。ましてである。空間騎兵隊:斉藤曰く、ヤマト一のキザ男集団とも言われるコスモタイガー隊にいたっては、隊長からして髪型にこだわる者たちばかりだ。特に・・・2番隊隊長:山本は・・・。 バーバーヤマト。真田は久しぶりにここを訪れた。前日からとても楽しみにしているバーバーヤマトフルセット。髭そり、眉そり(真田は必要ないらしい)、もみあげを整えるのはもちろん、頭皮から首、肩にかけてのマッサージはロボットでは味わえない至福の時間が過ごせる。丁度、真田の髪にバリカンがあてられてしばらく経過した頃だった。めずらしい客が入ってきた。 「ちぃーす」 「おや、山本隊長、どうしたんだね?ついに髪を切る決心でも?」 バーバーのおやじが訪ねたが、山本は首を振った。 「ちょっと伸びたから切りにきただけ。あ、真田さん、ど〜も〜」 「なんだ?いつも雪に切ってもらってたのに珍しいな」 真田の隣の席に座ってローブを纏わされた山本が首もとを緩めながらぼやいた。 「雪にばっか頼んでると、ホラ、だれかさんが文句言うじゃないですか。遠巻きに」 「あぁ、古代は雪のことになるとダイレクトに物を言わないからなぁ、ははは。しかし山本、いっそのことさっぱりしたらどうだ?ほかの連中は皆角刈りだろ?」 「加藤の影響ですよ。どいつもこいつも、角刈りのどこがいいんだか」 おっと、口がとんでもないことを言ってしまった。同じ角刈りの真田を前にして「しまった!」といった表情の山本だったが、時既に遅し。 『あぼーーーん!( ̄个 ̄) /』 至福の時によっていたぷちさだだ、目覚めの時。とたんに真田のゆるんだ顔が険しくなった。 「・・・角刈りの・・・どこが悪い?」 「い、いや、すみません。軽率でした!でも、べつに真田さんの事を言ったんじゃ」 「言ってしまったことをとやかく言うな山本。そうだ、お前は本当に軽率だ」 ぷちさだだは冷や汗をかいて訂正している山本の周りをぶんぶん飛び回り、蹴りやら頭突きを食らわせ、バトンで叩く。が、しつこいようだがぷちさだだは誰にも見えないし、何をされてもをれを感じることはない。だが、「何故?」と疑問をもったぷちさだだが手に負えないのは、その真田の豹変をもってして現れる。 「だいたい戦闘機乗りがなんだその前髪は!同じ髪の長い古代だって片目は隠していないだろう?南部だって眼鏡にかからん長さだ。見えるのかそれで!」 「見えますって。俺の戦闘中の姿見りゃわかるでしょう?」 悪びれた感じもなく平然といって退ける山本だった。だがそれで退く真田ではない。 「いーやわからんな。よく考えてみろ、コスモタイガーは最新鋭の機器を持って、俺が開発から携わり、艦載機としてふさわしい装備をそろえた。しかしだ!戦闘中に宇宙空間に投げ出される可能性は否めない!」 「ヘルメットに酸素ボンベ付いてるじゃないですか。毒ガスや煙に対しては、特殊マスクも装備してますよ」 話の流れがよく分からない山本はふて腐れたように席にもたれる。バーバーのおやじがたじたじになりながら櫛とハサミをもって一歩近付いたが、次の真田の剣幕にふっとんだ。 「甘いぞ!甘い山本!本当の緊急時にあのマスクを慌てて装着するにしても、その際に髪が巻き込まれてしまった場合!一本の隙間でも毒ガスが入ってくることもあるんだぞ!」 「はいはいわかりましたーーー!気をつけますよ。別にそんな髪型くらいでぷりぷり怒らないで下さいよ」 山本は正直ここへはくるべきでなかったと少々後悔する。さりとて、座ってしまった以上、帰るとも言えない、意外なところで小心者だった。 「だいたい、コスモタイガー隊はみんな角刈りですよ?おかしくないですか?そりゃぁ統制された姿で、軍人としてはいいかもしれませんけど」 「違う違う!違うぞ山本!!」 ずずいと真田の顔が接近する。そのぎょろっとした目は血走り、眉がないだけに恐ろしい。 「な、何か!?」 「いいか・・・・角刈りは・・・『攻め』だ!攻めの証だ!攻めの角刈りこそが戦士の証ってもんだ」 「せ・・・攻めっすか?」 鼻息がかかりそうなほど近い真田の顔にはバリカンで剃った際に散った髪の毛がたくさん付いており、正直山本は笑いを抑えるのに必死だった。緩みそうな頬と口、眉をなんとか自制心でそれ以上動かない様にと。しかし、真田が彼の目前にしっかりと握られたバリカンを差し出したために、その表情が凍り付いた。 「解説してやろう。攻めの角刈りとは!すべからくこのバリカンでジョキジョキと切り、美しい額の形を演出する前髪には計算し尽くされた角度がある!その先端の鋭さを見ろ!」 こんどは山本の目前に真田の額がアップだ。 「なだらかであるように見えて、後頭部から襟足にむかう鋭角のライン。一本たりとも妥協を許さぬ襟足の見事なまでにそろった棘の如き短さ!これこそが攻めの角刈りだ!!お前はそれが足りんのだ!!」 と、これまた掃除の終わっていない短い毛をたくさんまとわりつけたままの、色気もへったくれもない真田の襟足のアップ。 「わ、わかりましたからって!真田さん寄り過ぎっすっ!」 「だったらお前も攻めの角刈りにしろ!」 くるっと振り向いた真田の手にはまだバリカンが握られていた。血の気が引いていく山本。 「だぁ〜〜〜!ちょっと待って下さい!なんでそれで真田さんがバリカンを持つんですかっ」 「俺が責任を持ってお前を角刈りにするのだ」 「い〜〜〜〜〜です!もういいですよ!!ゆ、雪に頼みますからーーーー!!」 敵を前にして一度たりとも逃亡などしたことのない山本が一目散にバーバーヤマトから逃げ出した。おそらくもう二度とここへはこないだろう。角刈りにされるくらいなら、古代に文句を言われた方がまだましなのだから・・・。 |
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