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ぷち・さだだ劇場5話
謹賀新年 |
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太陽系より遥か離れたとある宙域のとある小惑星帯に錨を打ち付けた宇宙戦艦ヤマト。彼等は今年、地球には戻らず宇宙で新年を迎えることとなった。ヤマト展望室、食堂を初め、ホールといわれる所で行われている新年会。物資補給艦より受け取った料理に舌鼓を打つ者。酔いが回って寝込む者。踊りあかす者・・・真田はそんな中、一人見当たらないことに気付いてホールを出ていった。ホールでの喧騒とうって変わり、しんと静まり返ったヤマト第一艦橋では相原のかたかたとキーを打つ音が響いていた。
「や〜れやれ、無事に届くといいけど」 「なんだ、みんな浮かれはしゃいでいるのにぬけがけか?相原」 「あぁ、真田さん!い、いやぁ、ばれちゃいましたね」 「通信機を私的使用するとはしょうがないやつだな。ま、大目に見てやるよ」 真田はインカムを外してふぅっと溜め息をついた相原の肩をポンとたたいた。誰もいない隙をうかがって、相原は実家やガールフレンドに年賀メールを密かに打っていたのだ。 「本当なら、岩手の実家でのんびりしたいんですけどねぇ。まぁ、そうもいかないですよね、宇宙に出ちゃうと」 照れくさそうに笑う相原に真田も優しく微笑んでみせた。 「俺の実家は大昔に古墳調査で立ち退きさせられたからなぁ、親戚連中は散り散りでどうしるかわからん。俺には残念ながら、親も兄弟ももういないし、年賀を送る相手はおらんよ。お前がうらやましい」 そんな寂しい話でも、清々しさすら感じる笑顔で語る真田を見て、あらためて彼の宇宙生活の長さを実感する相原だった。 「真田さんはやっぱり宇宙の男ですね・・・」 宇宙で生きる一人の男として、やっぱり尊敬に値する・・・と思う相原だった。そこにちょっとしたネタが相原の脳裏をよぎった。 「真田さんは、何時頃から年賀状なんていう習慣ができたか知ってます?なんでも明治以降にできたもので、郵政省というところが売り上げにつなげるための策だったなんて話を聞いたことがあるんですよ」 「おお、そうか?」 「ほら、聞いたことありませんか?バレンタインデーにチョコレートを送るのは製菓会社の戦略だったとか。そうそう、サンタクロースが赤い衣装を着ているのはあれはもともとジュースの会社のCMから来ているそうで。当たり前になっている様なことでも、本を正すと大した理由じゃなかったなんてことはよくありますよね。なんかそんな理由で毎年大量の年賀状を書いてたなんて。めんどくさかったんですよ。あんなに辛かったのに、知ったときはショックでしたよー」 『あぼーーーーん!( ̄^ ̄)/』 新年会で酒を飲んだ真田はぷちさだださえも酔わせていたが、真田の今年最初の疑問に勢い良く目を覚ました。そう、ぷちさだだは相原の年賀状に対する不服の態度に疑問を持ってしまった。通信モニターに映った自分の席の背後に立っている真田の顔の影に驚く相原。先ほどの優しい微笑みはどこへやら。 「さ、真田さん!?」 酔いが回ったのではない。至極真剣なまなざしで相原を見つめる真田。もし、真田に眉があったのなら、思いきりつり上がっていたに違いない。 「相原。お前は本来の年賀状の意味については何も知ってはいないぞ!いいか?もともと年始の挨拶というものはだ、外様大名が殿様に挨拶状を送ることから始まる。今のように通信など存在しなかった遠い昔の話だ」 「だ、大名!?」 あまりにとっぴな話に開いた口が塞がらない。 「そうだ。当時の庶民は読み書きができなかったからだ。しかし、年賀状とはそれだけ格式高いものだったんだ!」 つばをまき散らせながら語る真田の姿におもいきり引きの相原は引きつった笑顔で「そ、それは凄いです」と言ってみたが、後が悪い・・・。 「で・・・でもそれは偉い人達だけの話で・・(~_~;」 「謹賀新年とは慎んで新年を祝うという意味があり、迎春はつまり旧暦の正月は春の初めにあったことからそのような言葉が生まれ、賀正は正月を賛ずる意味があり、明けましておめでとうございますは年が明けたことを祝うという意味がある。読み書きができるようになってから、人々は思いやりとへりくだりの気持ちを言葉に添えて、共に新しい年を無事に迎えられた喜びを分かち合ってきたんだぞ。慎ましい美しい姿じゃないか!それを辛いとかめんどくさいとかなんだ!」 もはや相原は今の真田の気迫に冷や汗こそ流れ、反論する言葉が見つからなかった。 「相原!」 「は、はい!」 「だから新年の挨拶はガミラスにも送ってやるんだ」 「はぁ?そ、それはおかしいですよ、だって異星人ですよ!?地球ならまだしも!( ̄□ ̄|||)」 真田は相原のコントロールパネルをバン!と叩いて大きく首を振った。 「そんなことだからお前はだめなんだ!長い歴史を持つこの格式高い挨拶を、あのデスラーにも送ることに意義がある。それができるのはお前だけだ相原。通信班だからというだけではないぞ。俺はお前が親御さんに新年の挨拶をするこの姿を見て非常に感動した!!お前ならできる!」 「いや・・・そういう問題じゃ・・(T^T)」 「デスラーは我々と非常に近い心の持ち主だと雪が以前言っていたぞ。臆するな相原!男になれ!」 どうしてこういう展開になるのか悩んでいる時間などみじんも与えられず、半泣き相原はガミラス星に『あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。戦艦ヤマト一同』と打つしかなかった。たとえ地球人に近いとはいえ、言葉の意味など分かるわけがなく・・・数日後、航行中のヤマト艦橋の巨大モニターにデスラーの顔が映った。新年会ボケしたヤマトクルー達の目が一気に覚める事必至だった。 「我がガルマン・ガミラス帝国の建国記念日はまだ先だが・・・どうかしたのかね? 何が明けてめでたいのか私には分からないのだ。今年の何をしてよろしくなのかも書いていないではないか。・・これは・・・我々に対する冒涜かね?(-"-;)」 ガルマン・ガミラス帝国の新年は建国記念日であり、それを祝う事すなわちデスラーを賛ずる事しか分からない彼にとって、相原の送った一通の通信は全く持って理解に苦しむ内容だったに違いない。しかし・・・卒倒してしまった古代に代わって、機嫌を損ねたデスラーを目前に必死に事情を説明した相原は・・・ある意味ちょっぴり宇宙の男になった・・・・・のか? *注:まったくグローバルな世界を無視した話の展開になっています。そもそも西暦2200年という時代に年賀状なんてあるのかどうかもわかりません。これはただの思いつきで書いている話ですので、深く追求しないで下さい〜。それと、真田さんの実家が古墳調査の為に立ち退きになったというのはでっちあげです! |
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