ぷち・さだだ劇場夏休み企画!?
ヤマト de 夏休み編 3
終わらないと思っていた夏はあっと今に終わった。というか宇宙に季節はないのだが・・・。

「やっぱりこう、夏っていったら夏らしくしたいものだよな」
「十分暑い夏だったよ・・・空調が直って何よりだ」
真田が命名した『コスモ・エチゼンクラゲ』の影響によって艦内電源が異常を起こし、結果空調が止まってしまったのは数時間。確かにその間、この銀河の恒星の影響によって温度上昇した艦内は灼熱地獄だった。そんな中で平田の作ったヴィシソワーズがふるまわれて暫く、真田と技術班総動員しての復旧作業は功を奏して空調が復活した。
ほっと一息ついた第一艦橋のメンバーは安堵している様子。
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灼熱地獄のまっただ中での彼等は見られたものではなかった。コントロールパネルに凭れ掛かって、あるいは床に寝そべってゴロゴロ転げ回る、あるいは・・・
ウィーン、ガチャ。 ウィーン、ガチャ。ウィーン、ガチャ・・・・・
「古代・・・うるさい。それ止めろ。団扇じゃないんだぞ」
島が隣でやかましい音をたてている古代を力ない声で制した。古代は、少しでも風をと思案を巡らせた結果、波動砲のターゲットスコープのフラップのオープン&クローズを試みたのだ。これが思った以上にうるさい。通常戦闘中で使うこの機械の音がうるさいなどと思ったことはなかったが、いざ平常時にこれを行うと、結構大きな音がするのが分かった。

「これは俺たちの命を何度も救ってきた機械だぞ。そんな言い方しなくたって」
「じゃぁ何か?ターゲットスコープ動かしたら皆が涼しくなるのか? お前だけ涼しくなるだけだろうがっ」
「・・・そこかよ〜。だったらお前も舵動かしてみりゃいいだろ」
「涼しくなるわけないだろーが!だいたいそんなことしたらヤマトが縦横無尽に行ったり来たり行ったり来たり・・・あぁ〜〜考えるだけで暑くなる・・・」
とまぁこんな様子だ。戦いが無いのは良いことだが、緊張感が無くなると言うのは問題である。
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然して、空調が直って暫く、満足げな顔をして第一艦橋に戻ってきた真田はいつもの通り、クルーの感謝の言葉を浴びた。
「さすがは真田さん!『コスモ・エチゼンクラゲ』もびっくりですね!o(^o^)o 」
「ははは。まぁ、空調が止まっただけで済んでよかったよ。機関室はそりゃ酷いもんだったが、こっちは大丈夫だったか?」
「まぁなんとか。でも古代さんが・・・」
「太田!しーっ!!」
相変わらず飄々とした太田がターゲットスコープの件をちゃかそうと口を開いたものの、古代の睨みで口を噤む。
「どうかしたのか?古代」
「え?何でもないですよ。真田さんのいない間、艦橋の機器が無事に動くかチェックして回っていたって言うことですよ。な、太田!」
「そうか、さすがは古代だな。そうやっていつも危機管理意識が高いのは良いことだ」
これに島は吹き出しそうになり、南部と相原が肩を振るわせて声なき声で笑っていた。ちょっと空気がおかしいのに気付かない真田ではない。古代は慌てて先の自分の馬鹿馬鹿しい行動を悟られないように、話を変えてみた。
「しかしなんですねぇ、せっかくの夏休み・・・どこか海でもある星が近かったら、海水浴とかしたかったですよ。イスカンダルが懐かしいですねぇ〜〜」
確かにイスカンダルの海に停泊はしたことはあるが、海水浴なんて呑気な事態ではなかった。・・・が、ひょっとしたら泳いでいたかもしれない。これはあくまで想像の域を超えない事である。
「この周辺は海のある星なんてどこにも無いですし」
と古代は必死に話を続けてみた・・・

「あぼーん( ̄〜 ̄) /」
愚かなり。真田が気付かずとも、ぷちさだだは全てまるっとお見通しだ。

静々と席についてキーボードに手をおいた真田のにこやかな表情がちょっと変わる。
「そんなに海水浴がしたいのか?」
「え・・・?嫌だなぁ真田さん、わざわざそれができる星を探すとか言うんじゃないでしょうね?それともプールを作ってくれるとか?」
普通ならここで「そんなことするわけないだろ!つまらんこと言ってないで仕事だ!」とか言い、古代が「いっけね!」とか言いながら、舌を出すなり頭をぽりぽり掻くなりして、一同が「ははははは」と笑って大団円・・・次回に続く・・・的な流れだろう。古代はそんな風景を想像して自分の行動の揉み消し策は万全だと、内心頭を掻く準備を整えていた。

しかし、真田はその目を座らせ、「ふむ・・・」と腕を組み、やがて口元を( ̄▽ ̄) ニヤっと歪ませて振り向いた。
「水がなくとも泳ぐ方法ならあるぞ」
「は・・・(・_・)?」
思った通りに事が運ばないのは世の常である。

ドドドドドという音を立てて一瞬ヤマトが震えた。これはこの後に起きる惨劇にも近い現象の前触れか!?
「うおぁぁーーーーーーーーーっ!!!Σ( ̄□ ̄;)」
ヤマトの方々で悲鳴が上がった。
「真田さんっ!!な、何をやってるんですかっ!!」
「だから水がなくとも泳ぐ方法があると言っただろう? 重力装置のボリュームを下げれば重力が無くなる。壁を蹴ってみろ、なかなか面白いぞ」
そう、真田はにこにこ笑いながらヤマト艦内の重力をほとんどOFF状態にした。ホワイトベースだってこれほど重力がなくなることはあるまい。結果クルーは見事に空中へと放り出され、ヤマト艦内で宇宙遊泳状態となったのである。 そう言えば、いつだったかこんな状態になったこともあった。
「な、なんで真田さんは大丈夫なんですか!?」
「はははは。俺の足には重力調整装置が装備されているからな。自主的に解除しない限りまったく影響を受けることがないんだ」
「ド、ドラえもんか・・・ o((=゜ェ゜=))o」
まぁ、ある意味、色も青いし四次元ポケット的な頭脳を持っているあたり、近い。片や耳が無いのに対して眉毛が無い。ただし、真田の眉毛がないのはネズミに齧られたわけでは無いが。

「ぐ・・・俺は・・・どうすればっ(_□_;)!!」
と呟いたのは島。流石は航海長だ。舵をぐっと握りしめたまままっ逆さまになっても離そうとしないのは偉い。しかし、ぷちさだだは島の指をいっぽんいっぽんバトンで叩き、結果ずるずると指の力が抜けた島はあえなく空中へ。
「お前が余計なこと言うからだろーー!」
と叫びながらの古代へのパンチは全く効くことはなかったが、古代は見事にその先の壁に向かってビューンと飛んでいった。しかし、ただでは起きない古代は壁を思いきり蹴り、やはりビューンと島に飛んでゆく。これではまるで天下一武道会だ。

どたばたの内に、古代の一言で夏休みは終わった。もっとも、クルーは案外楽しめたようである。なかなか楽しい夏休みであった。
「来年の夏休みはイスカンダルで過ごそう・・・」
疲れ果てた古代は遠い目で宇宙を眺め続けるのだった・・・・・。