ぷち・さだだ劇場夏休み企画!?
ヤマト de 夏休み編 2
空調が止まり、艦内の温度が上昇し、正直誰も何もする気が起きず、ぐだぐだと時は流れていった。ちなみに、電源がショートした原因はこの宙域に浮遊している未確認生物の大群に突入したせいもあった。レーダーで感知するも何もあったものではない・・・そんな生物だ。

「北野の演習のおかげでとんでもないことになったなぁ」
「なんで僕のせいなんですか・・・」
「工作班からの連絡じゃ、デコイの爆発で未確認生物ってのがたかってきたそうじゃないか」
・・・と普通に話しているようだが、じつはとんでもなくだらけた状態での会話である。

雪は熱中症患者の処置のため医務室へ、山崎は灼熱の機関室へ行ったっきりだ。そして第一艦橋では皆もろ肌脱いで暑さに耐えていた。

ちなみに、ついさっき真田から連絡が入り、この未確認生物の実態が分かった。
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「で、なんなんですか?この生物は」
「うむ、我々の言葉でいえば・・・クラゲだ。それもとても巨大なクラゲだ。このクラゲのせいで艦内の電気系統の電磁波が干渉を起こし、さらに艦外の温度上昇がそれを助長した結果ショートしたと考えられる。こればかりは俺にも予想がつかなかったのでな、現在緊急復旧作業を進めている」
「とりあえず、この宙域から離脱できるだけのエネルギーを回復させて下さい」
「うむ、わかった。あ、ちなみに古代。この生物に名前を付けたぞ」
「名前ですか?」
「コスモ・エチゼンクラゲだ。ではそういうことで」
プツ。
「名前なんてどうでもいいから早くしてくれぇーーーー!」
古代進魂の叫びは真田には聞こえていなかった。
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今、ヤマトクルーの方がよっぽどクラゲの様だ。皆少しでも涼をとテーブルの機械部に伏してうだうだしている。

「いやぁ〜冷蔵庫が無事で何よりでしたね、平田さん」
「そうだな。医務室と厨房はメイン電源とは別で、かなり旧式の蓄電設備を持っているからかえってそれがよかったのかもしれないな」
ヤマト亭厨房では土門がジャガイモの皮剥きをしていた。一方の平田は茹であがったジャガイモを丁寧に潰して裏ごししている。暑いさなか時々冷蔵庫の冷気にあたってのらりくらりしている土門にくらべ、平田は汗を拭き拭き一生懸命にジャガイモを裏ごし中だ。
「で、これは何にするんです?」
「あぁ、こう暑いとみんな体力を消耗するだろう?冷蔵庫が無事だったおかげもあって・・・ヴィシソワーズを作ろうと思ってね。皮剥きが終わったら、そこの小ネギと大根の葉っぱをみじん切りにして冷やしておいてくれ。それが終わったら生クリームとミルクをここへ出しておいてくれればいい」
「びし・・・わーず?」
「ジャガイモの冷製スープだよ」
平田は優しい笑顔で土門にヴィシソワーズの説明をした。この時、ヴィシソワーズを知らなかった土門はこんなことを頭に浮かべる。
『え?ヴィシソワーズ?あぁ、ポテトの冷製ポタージュね。夏になると爺が毎朝僕の寝室へと持ってきてくれるよ。我が家のシェフが腕によりをかけてつくったヴィシソワーズはどんな一流レストランでも適わない極上のポタージュさ。今度来るかい?』
とまぁこんな事が想像できた。死んでも揚羽にはヴィシソワーズって何だ?とは聞くまい。

この最中、水を飲みにきた真田が厨房に姿を現す。
「お、やってるな。ここは無事でなによりだよ。艦内はどこに行っても非常灯で薄暗くてなぁ。水を一杯貰えるか?」
「どうぞ。修理の方は目処が付いたんですか?」
「粗方な」
真田は喉を鳴らして水を飲む。冷蔵庫と幸せそうに戯れる土門と目が合うと、土門は引きつった笑顔で冷蔵庫から離れていった。
「それにしても夏休みなんだから、夏らしいことしたいですね、真田技師長〜」
「たとえば夏らしいといったら?」
「流しそうめんとかいいですよねぇ・・・みんなでやったら楽しそうだなぁ〜」
・・・・・と後を考えない何気ない一言が何を起こすかまだ学んでいないらしい・・・。
ぷちさだだは( ̄∇+ ̄)vニヤリと笑って土門の周りを飛び回っている。

「土門、いいか?ヤマト艦内で流しそうめん大会をしたらどうなると思う? だいたいスタート地点は艦長室か第一艦橋だ。あの大食らいの太田のいる第一艦橋を通過して居住区を流れてゆく。第三艦橋はまぁいいとして、最終地点は一番下の格納庫と機関室だぞ!?」
「そ・・・そんな大げさなぁ・・・」
「重力の関係上そうなる。そして、居住区を通過する頃にはもうそうめんなんてもんはほとんどなくなっているに違いない!よく考えてみろ・・・水はそれでも重力に逆らえず流れていく・・・格納庫は洪水だ!! みんな溺れるんだぞ!!」
「だ、だからそんな大げさなことは・・・」
しまった・・・と内心思っただろう。だがもう遅い。アワアワしながら平田に助けを求める視線を送っても、ジャガイモの裏ごしに集中している彼には何も見えていないし聞こえていないらしい・・・。
「それでもそうめんと水が流れてくる竹の前で、割り箸と汁を握って仁王立ちできるのは加藤くらいのものだ」
波立つ格納庫の中で割り箸と汁を持って仁王立ちする加藤の姿が頭をかすめ、つづいて溺れている揚羽の姿が横切り、ぷっと吹き出しそうにもなる土門。これはいけない。
「土門!」
「は、はい!!すみませんっ!!」
なんでもいいから謝る。真田は土門の胸ぐらをつかんで鼻ズラを近付けた。
「・・・いずれにしても、機関室までそうめんが流れる可能性は皆無に等しい・・・これは下手をすると『ヤマト一揆』か・・・」
「は・・・?いっき・・・?」
真田の頭の中はこうだ。熊手や鎌を持ち、なぜかボロい農民姿の徳川(父)がものすごい形相で迫りくる図。
「・・・・・恐ろしい・・・お前・・・後がないぞ・・・」
真田は一言つぶやくと、黙って厨房を出ていってしまった・・・。
「え?何?・・・俺なんかしました?ねぇ!!真田技師長ーーー!!恐ろしいって・・・いっきって何ですかーー!!後がないって何ですかーーー!!」
どうも土門には『一揆』とは思えず、何がなんだか分からないまま真田はいなくなる始末。冷蔵庫なんぞなくても、十分涼しくなってしまう土門だった。

まだまだ夏は終わらない・・・