ぷち・さだだ劇場夏休み企画!?
ヤマト de 夏休み編 1
第一艦橋にて
「おい、北野。そろそろ腕がなまってきてるんじゃないのか?このあたりで久しぶりに演習といこう」
「ええ?そんな突然・・・」
正直暇を持て余していた古代が、丁度いい小惑星帯にさしかかったのか後ろを向いて微笑んだ。長く航海していても、いつ何が起きるかわからないヤマトでは日々丁度良さげな宙域に行っては演習を続ける・・・。今日は北野の番らしい。
「じゃ、俺はしばらく休憩ということで」
舵から手を離した島に続いて山崎がメインエンジン停止指示を出すとおおきくのびをした。
「島航海長!一応見てて下さいよ」
不安げな北野の声に苦笑いの島。一斉に「いつまでたっても新人のままだ」と一同から嘲笑を食らうことになる。

ところで、いま地球にいたら、彼等は夏休み中のはずだった。もっともそう長くとれる夏休みではないため、むしろ宇宙にいた方がのんびりできるとも言える。とはいえ、天気も四季もない宇宙空間では、とうてい夏休みという気分にすらならないのだが。・・・そんなさなかにあって、『ぷちさだだ』は相変わらず呑気に真田の頭の上にいてぼけ〜っとしている。
「この演習が終わったら、みんなしばらくは休みにしよう。今、地球にいるとしたら、防衛軍基地じゃ夏休み休暇のラッシュだ。俺達だけがこんな暗い宇宙空間で齷齪しているのもなんだし・・・なぁ、どうだ皆?」
真面目一本の古代もときにはこんな気の利いたことを言うものだ。いっせいに歓喜の声が上がるのは当然だろう。
ちょうど今太陽にもにた恒星をもつ銀河系を航行中。

夏休み、あぁ〜夏休み。なぜだか心が体が騒ぐ。それが夏休み。ぷちさだだはフラダンスを踊り出す。
~( ̄∇ ̄)ノアイヤイヤー ヘ( ̄∇ ̄)~アイヤイヤー

灼熱の太陽と海、小麦色のギャルのビキニ姿。あるいはサーフィンボードでクールに決める自分・・・いったいそんな想像をめぐらすのはどいつだ!?
「じゃぁ、デコイの発射をお願いしますぅ」
北野だ。迫りくる夏休みに浮かれ気分を隠せないその顔のまま、デコイ発射の依頼をする。ちなみにデコイの発射はヤマトの技術班管理下にあるため、真田の担当に当たる。
「なぁ北野、初心に返ってまずデコイの説明からしてみようか?」
座席でふんぞり返りながら島がいじわるにそう尋ねた。まぁ北野は第一艦橋にいる間はいつまでたっても新人には違いない。
「わかりました。デコイとは直訳すれば『囮』です。もともと水鳥を狩るときに騙すために流す鳥の玩具、・・・つまり疑似獲物のことですが、地球防衛軍では若手乗組員の教育、あるいは新しい武器を使った演習のために、疑似戦艦を射出して敵に見立て、攻撃演習をするためのものであると覚えています」
たいしたことではないが、その答え方はやはりエリートだ。艦橋内に感心の声が上がる。そんな皆からの感心の声に有頂天になったか・・・。
「ははは、間違っても『でっかい鯉』の略称じゃありませんよ」

「あぼーん( ̄  ̄メ)」
夏休み気分に浮かれ浸っていたぷちさだだが、北野のつまらないギャグに切れた・・・。真田の目が座り、額にピキピキと音をたてるが如く血管が浮き上がる。目もくれぬ早さで立ち上がりながら北野に向かって振り向いた真田はビビっと彼を指差す。
「北野、お前はなっとらんな」
「あ・・・技師長・・・つまらないギャグ言ってすみません」
平謝りしながら頭をぽりぽり掻いてみせる北野の態度が気に入らない。
「だいたいお前は何をするにも気合いが入っとらん。そんな事だからサルマタ一丁で艦内を走らされるんだ。気合いを入れろ気合いを」
「真田さんの言う通りだぞ。ギャグなんていってないでさっさとはじめろよ」
まぁこの程度なら皆も賛同だ。しかし
「デコイだってつたないお前のつたない技術の犠牲にならなきゃならん。かわいそうだとは思わんのか?すこしはデコイの気持ちになってみろ。俺をはじめとする技術班が一生懸命に作ったデコイだぞ!?愛情込め込め一機ずつ丁寧に、試行錯誤しながら作ったんだぞ!?それが瞬時に壊されることがどんなに辛いことか!!それを『じゃぁデコイの発射をお願いしますぅ〜』だぁ?その気のこもらない言葉に俺は発射スイッチを押す気にはなれんな」
ぽかーんと口を開けて真田の言葉に聞き入る北野。あの真田を怒らせてしまったという気持ちから、正直焦りまくって固まった。ちなみにほかの連中と言えば、北野が怒られている様を見てくすくす笑う。
「・・・すみません」
小さくなってゆく北野だった。しかしそれが返ってぷちさだだの意地悪モードに火をつける。
Ψ(`∀´)Ψヶヶヶ
「気合いいれろーーー!!」
「は、はいぃぃっ!!!」
「男ならギャグも気合いいれて言え!!」
「は、はいっ!!」
飛び上がりそうなほどびっくりする北野に間髪入れずに真田の声。びしっと座り直した北野に向かって・・・
「復唱!」
「はいっ!」
「デコイ、出てこいやぁーーー!!(高田風@PRIDE)」
「・・・・・え・・・・・ぇ?」
「・  ・  ・」
一瞬静かな時が流れる。
「言わんのか?ではボタンは押さん。ついでにお前は夏休み返上だ」
「わ、わかりました!!」
『デ、デ、デ、デコイ、でてこいやぁーーーーー!!』


ところで、旅は長い・・・そして平和が続く。それはとても良いことなのだが時として具合の悪いこともある。なにしろ宇宙戦艦ヤマトはかつて旅に出ると必ず大きな戦いにまきこまれ(あるいは自ら向かい)、ボロボロになって地球へと帰還してきた。したがって、次の旅に出るときは新品同様・・・どころかさらにグレードアップされた状態で出航を迎えた。
が、しかしである。平和な時間が長いと、これといってボロボロになることもないために、さしてグレードアップもしないままただ時を過ごしているのである。 

北野の演習を終えて、太陽系によく似た白色矮星銀河の中心へと航行を続けながら、ヤマトではおのおの夏休みの過ごし方に思案していた。正直、地球ではないヤマトという狭い空間での夏休み・・・寝るか食うか訓練するかしかやることがないらしく、一同皆ぼけ〜っとしている・・・と。
「あ」

ギギギ・・・ギ・・・・・
ウィ〜〜〜〜〜〜ン・・・
ピーッ!ピィーーーーーッ!!
突然起きた物音にぼけっとしていた一同が飛び跳ねるかの如く驚く。ヤマトは小刻みに揺れているばかりか、各々の目前にあるパネルには赤いランプとアラートがひっきりなしに点滅しているではないか。
「緊急事態発生!!/(ToT;;)」(北野)
「何が起きた!!て、敵か!?***(;"o")」(太田)
「分からないわ、レーダーには何も写っていません(-_-;)」(雪)
「不意打ちか!!!( ̄曲 ̄;) 」(南部)
「艦外温度急速上昇!私は機関室へ向かいます!(-。−;)」(山崎)
「どうしたんだ?・・・パネルが異常です!うんともすんとも言いませんよ!o(;△;)o 」(相原)
「島!緊急離脱だ!!(`Д´) 」(古代)
「まて古代・・・下手に動くとまずい。潜宙艦っていうこともありえる(--;)」(島)
真田が「あ」と言ったものの、誰もこの声に気付かなかったのだろう。ひたすらアラートランプの点滅に手も足も出ないような第一艦橋は妙な音と突然のアラートにまるで阿鼻叫喚といったところだ。・・・こういった緊急事態の最後は、たいていお決まりのパターンとして、古代の『真田さん!!』とヘルプを乞う声が響くのだ。「こんなこともあろうかと・・・」という言葉にすがる気持ちで・・・。

「古代。ここの付近に超新星があるために艦外温度が上昇している」
「それは分かっています。航路決定の際に再確認して・・・まさか爆発が近いとか・・・真田さんの計算ではまだそこまではいかないから通常航行できるんでしたよね」
真田はこくんと頷いて、頬をぽりぽり掻いている。そんな真田の仕草に、徐々に一同の顔から色が失せはじめた・・・。
「すまん。艦内電源がショートした」
「・・・・・はい?(; ̄ー ̄)」
「老朽化が激しいので修理せねばと思っていたのだが・・・まさかこんなに早く壊れるとは思わなくてなぁ・・・
(; ̄ー ̄)」
やがて空笑いしながら頭をぼりぼり掻きはじめた真田。修理できるのが真田しかいない以上、だれも彼を責めることなどできない。しかし、平和ぼけとは恐ろしいものである。

・・・・・こうしてやがてヤマトでは暑い暑い夏休みがはじまった・・・