|
ぷち・さだだ劇場1話
だるまさんがころんだ |
|||||
|
真田技師長は今日もヤマトの工作室でなにやらいろいろな作業に追われていた。そんな時、突然ある事をが頭をよぎり、どうしても仕事が手につかない。よって、側方展望室で一息ついていた。そこにちょうど戦闘班班長古代が現れた。
「おお、古代、いいところに現れた!」 「どうしたんです?真田さん」 「うむ、ちょっと気になる事があってな・・・」 完璧なはずの真田がこんな事を言うと言う事は、ひょっとして深刻な状況かもしれない!と、古代は思った。真田に近付き、食い入る様に真田を見る。 「古代、『だるまさんがころんだ』を知っているだろう」 「はい?・・・えぇ、まぁ・・・随分古い遊びだというのは。それがなにか?」 「そもそも、『だるまさんがころんだ』・・・というのは10数える事だと言う事だ」 古代はとんでもないタイミングに真田と会ってしまったと少々後悔した。 「遊びの名前以外にも意味がある・・ということですか?」 「『だるまさんがころんだ』というのは非常に合理的な数え方なんだぞ古代。子供の頃に風呂の湯船に浸かりながら、100数えるまで出てはいけないと言われたお前の兄さんがな、『いち、にい・・・』と数えずに『だるまさんが・・・』と猛スピードで10回数えて出たと言っていた事がある」 「はぁ・・・」 ーーーホントかよ・・・兄さんーーー 「よく考えてみろ古代。『いち、にい、さん・・・』これでは音が1に対して二つあることになる。しかし『だるま・・・』とすると、1に対して一つの音で済むわけだ。したがって、理論上、本来の時間の半分の速度で数える事が出来るわけだぞ。これは合理的だと思わんか?」 とてつもない発見をしたかのごとく、真田は力説した。 「そ、そうですね。さすが真田さん。目のつけどころが違う」 「しかしだ・・・古代」 その場を去ろうとした古代、足が止まる。 「まだ、何かあるんですか?」 「うむ。なにも10数えるのに『だるまさんがころんだ』でなくてはならない理由は無い。したがって、言いやすい言葉であればいいとは思わんか?」 「た・・・たとえば・・・『森雪がおこった』とかでも?」 真田、にこやかに古代の背中を叩いた。真田の腕は機械の義手なだけに、叩かれた古代の痛みは計り知れない。 「はっはっは!言ってくれるなぁ古代!だがそれでは9文字じゃないか!」 「あ・・・そうですね。じ、じゃぁ、『真田さんが叩いた』・・・とか」 古代はもうどうにでもなれという気分だった。 「そうだ!他にもあるぞ、『島大介がこけた』でもいいんだぞ!」 ーーーなんで島なんですか?ーーー と思いながらも、なんだか古代も楽しくなってきた。 「名字が三文字の俺達の場合、君とかさんをつければゴロが良くしやすいな。『大田が食い倒れた』というのも10文字だが、言いにくいしな・・・他にあるか?」 真田の頭の中で、ぷち・さだだがもっとやれと更なる追求を求めているらしい。 「そうですねぇ。『ズォーダーが笑った』・・・とか・・・」 「はっはっは、おもしろいぞ古代。いやぁ、なんだかいろいろな言葉が浮かんできそうで楽しいな。今度ぜひ何かの機会に使ってみるといい。いや、実に楽しかった。ありがとう、古代!。お、そろそろ工作室へと戻らないといかんな。では、またな」 古代は側方展望室に一人残り、指折り数えながら言葉を考えはじめてしまった。 そんなある日の事だった。 「古代!波動砲を撃て!」 沖田十三艦長の声が第一艦橋に響き、緊迫した空気が流れた。 「エネルギー充填120%」 「シアーロック解除!内圧限界へ!」 「ターゲットスコープオープン!対ショック、対閃光防御!」 徳川、南部につづき、古代の声が艦橋に木霊する。 「波動法発射10秒前、9・・・あ・・」 ーーー10秒前?10だって?・・10・・・10・・・ーーー 「どうした!古代!!何をぼけっとしとるっ!!!」 突然脳裏をよぎった意味不明の言葉によって、うろたえる古代。彼の背後に沖田の一喝が轟く。 「だっ!だるまさんがころんだーーーーーー!!!(波動砲発射あーーーー。と言いたかった)」 ドドーーーーーーーン・・・・ 今日もヤマトの危機は救われた。 「やっぱり『だるまさんがころんだ』の方が言いやすかったようだな・・・」 「べつに、『沖田さんがどなった』でも『波動砲でがんばれ』でもよかったんですが、あわてるとやっぱりすぐに出てくるのは『だるまさんがころんだ』でしたよ」 「うむ、そもそも波動砲を撃つときはゆっくり10数えるから、普通に言っても良かったんだぞ」 「何かの機会に使えって言ったのは真田さんじゃありませんか!」 「そんな事を言ったか?いや、覚えていないぞ。まぁいい。古代、がんばれよ!」 「何をですか〜〜!」 「じゃぁな」 真田はぷち・さだだの悪戯だということはまったく気付いていない。もちろん古代もである。真田は笑いながら背を向けると、手をひらひらさせながらまた工作室へと去っていくのであった。 「『真田さんが壊れた』・・・」 古代は当分抜け出せないらしい。 終わり |
|||||