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昼メロ劇場 第三十二話
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第三十二話:新たなる旅立ち:その1
あれから、数カ月が経った・・・。真田宅はどういうわけか、例の黒虎VSドメラーズの一件で拝借したおしぼり業者トラックの運転手、新米とその家族が借りる事になったらしい。大学卒業に向けて万能ロボットを作ると意気込んでいる彼に心うたれた志郎の計らいだったとか・・・。ゆきかぜ荘では南部電気を退職した相原が進と雪を連れて階段から駆け降りる。 「早く早く!古代さん!雪さん!バスが出発しちゃいますよぉ〜〜!」 「結構せっかちなのね、相原君ったら〜。大丈夫よ、一本遅れたからって、館長も真田さんも怒らないから・・・」 階段の下でジタンダをふんでいる相原。仲良く肩を並べて降りてくる進と雪に少々苛立っている。 「そうだぞ相原、あわててでかけて忘れ物でもしたらどうする」 「今夜中につかないと、流星群を見逃しちゃうんですって!!望遠鏡のセッティング、南部だけに任せたら心配ですから」 「いやぁねぇ、真田さんがいるじゃない」 「え?・・・あ、そっか!ははは」 ゆきかぜ荘の外で笑い声が木霊する。 夕刻を過ぎて、繁華街はいつものきらびやかな世界が展開される中、ホストクラブ黒虎は以前と同じく活気溢れた接客がなされていた。 「いらっしゃいませ」 「きゃ〜!四郎君!店長になったのねぇ〜〜!!おめでとう♪」 入り口で四郎が客を迎えると、顔なじみの客達がわいわいと入ってきた。 「No.2の坂本ですっ!ヨロシクゥ!」 「No.1の揚羽です・・・でもどりですけど」 テーブルで威勢のいい声が上がる。さらにカウンターの奥で・・・ 「いいか、土門。レモンティーの入れ方は色を綺麗にするんだ。あ、それから焼きおにぎりを作る時は・・・」 「もういいですよ、平田さん。わかりましたから事務所の方に行ってて下さいって!」 手のかかる新人が増えた。あっという間にはす向かいのドメラーズは別の店となり、その後彼らがどこに行ったのかは分からない。唯一、ドメルがデスラーの罪を全て被ろうとした美談だけが真しやかに流れた。四郎はポケットから、新品のライターを取り出して苦笑い。兄、加藤三郎が店長昇格祝いにプレゼントした物だ。やはり、戦闘機の彫刻が施されたジッポーだった。 「兄貴、今頃大丈夫かなぁ・・・・。喧嘩してなきゃいいけど・・・」 「大丈夫ですよ、店長。あれでも気の合う仲だし」 平田が四郎に微笑みかけた。 「それは分かってますよ。でも・・・・南の島に行くって言ってたわりには・・・」 「はいはい、言わない言わない。さ、お客さんにご挨拶まわり、しないとだめですよ」 「了解!」 四郎は新調のスーツの襟を正すと、客席に向かって胸を張って歩き出した。 「お〜じゃまするぜぇ〜〜」 ガラガラとラーメン屋の扉を開けて入って来たのは斎藤。あの一件から特にこれといって進展のない彼だったが、ここに来るのは久しぶりだった。いつもの様にカウンターへ座ったが、どうやら内装が少し変わった様子にあたりを見回した。 「大ちゃんラーメン、大盛りな。しばらくこねぇ間に新装開店したのか?」 「もう大ちゃんラーメンは廃版ですよ。これからは健ちゃんラーメンに変わりました」 「なんだってぇ?」 島がいる筈のカウンターに太田がラーメンざるをちゃっちゃとならしながら立っていた。厨房の奥から顔を出したのは島だ。 「見なかったのか、看板」 「し、島おめぇ・・・」 「のれんわけだよ。徳川さんは隠居して孫の世話に大忙しさ。徳川亭から大和亭に変わったの、知らなかったのか?」 大和亭にリニューアルした店の店長になった島はにっこり笑っていた。ホストのヘルパーもよかったが、斎藤としてはラーメン屋の制服をきている島のほうがなじみ深い。斎藤もにっこり笑い返した。そこに水を持って現れた新人。 「俺、徳川の末息子の太助です。ヨロシク!」 「なんだか太田とたいしてかわらなそうな奴だな・・・ま、いいや、オイ、太田!その健ちゃんラーメンってやつ大盛りでな。まずかったら金はらわねぇぜ!」 「はい!まいど!!」 筑波。志郎はもっと都心から離れた場所へと引っ越すつもりだったが、彼の技術や才能を生かしたいという人物のはからいで、筑波へと引越していた。まだまだこれからこの地は開発が進む。この国の科学技術はこの筑波から発進されるのだと、志郎は口癖の様に言いながら、研究所勤めをはじめた。 「真田さん!すっごいですよ!流星群!古代さん!早く早く!」 「きれいだなぁ〜、やっぱり来て良かった!」 「でしょ〜!古代さんも結構星観るの好きでしょー」 「古代、いいか、この流星群というのはな・・・」 新しい真田宅の屋根上で天体望遠鏡を覗いている南部と相原。そしてそこに四郎と進がやってきた。仮病を使うという画策を成功させた南部はその後、父親の元を離れ、母親の見合い写真を突っ返し、かねてよりやりたかったモデルガンの会社へと就職した。相原は今後増えるであろう携帯電話の小型化と普及のため、志郎の口利きで電話会社へと就職した。 「いいですなぁ〜のどかで。昔はよく天体観測したものですなぁ〜館長」 「天体観測か・・・・なにもかも皆なつかしい・・・」 大騒ぎの声、志郎のうんちく、かつて、弓道部の古代兄弟、島、加藤、と共に、志郎達の天体観測につきあわされた事を十三が思い出していた。 「このまま、わしも星になってしまいたい・・・」 「弱気はいかんですぞ、館長。こうして空気のきれいなところへ引越たんですから。古代が大和館の再建をした暁には、また館長の凛々しい姿をお見せ下さい」 「ありがとう、佐渡先生。それと・・・雪もな。だいぶ体調が良くなって来たんだ、これも皆の笑い声が聞ける様になったからかもしれんな」 「館長・・・」 「なんじゃな、わしらが元気なうちに、お前さんの嫁入り姿くらいは見せてもらわんとな」 真っ赤になる雪 「いやだわ佐渡先生ったら。古代君はまったく真剣に考えてくれてませんよ」 「ということはなにか?お前にはその気があるということか」 「え・・・・い、・・・そんな・・・もう!」 真田宅の平和な笑い声が星空に響き渡った。 つづく 次回予告:南の島って? |
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