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昼メロ劇場 第三話
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真田の不安
昼間、十三の介護に来る介護士の森雪が十三の背中を拭いている。澪子が買い物に出かけている間のわずかな時間だが、十三は彼女が来るのを楽しみにしていた。 「そう言えばこの間、佐渡先生が将棋で負けたってぼやいてましたよ!」 「歳は取れどもアヤツには負けたくないからな。はっはっは。最近はな、少しだが歩けるようになった、もうすぐ道場にも戻れる。まぁ、誰も来やせんだろうがな」 「そんなことありませんよ。古代君だって島君だって、館長の復帰を待ってます。はやく元気になりましょうね」 「そうか?うむ、そうか」 十三はにこにこ笑って頷いた。彼らが道場に行っていないのは既知の事。ただ雪の優しさがうれしかった。その時、夕飯の買い物を抱えて澪子が帰ってきた。守も一緒だ。一瞬にして十三の顔が厳しくなる。 「雪さん、こっちでお茶でもいかが?」 雪は十三に浴衣を着せるとキッチンへ去っていった。入れ違いで守が現れ、すぐさま土下座をした。 「館長・・・申し訳ありませんでした!」 ベッドに座っている十三はじっと前を見たまま、ちらりとも守を見ようとはしない。しばし時が流れる。頭を下げたままの守の額から汗がこぼれ落ち、畳に吸い込まれていく。 「ばかめが」 ぼそっと十三が呟いたため、顔をあげる守。 「・・・は?」 「ば・か・め・が、と言ったんだ!」 真田の家に十三の声が響いた。しばし、けたたましく鳴く蝉の声だけがこだまする。突然十三が咳き込んだ。 「館長!」 守が十三の背中をさすろうと立ち上がったが、押しのけられてしまった。雪が駆け寄る。 「館長・・・はい、お水ですよ。もう、ダメじゃないですか大きな声を出しちゃ。さぁもうお休みになりましょ」 十三を寝かせる雪が目配せすると守は項垂れてキッチンへと向かった。 「館長はとても具合が悪いようだね・・・俺のせいだな」 澪子はポテトチップをかごに開けて守に差し出した。 「守さん、いったに何があったの?主人は何も話してはくれないから・・・」 「俺と駆け落ちしたスターシアを追っているのはガミラス電気という会社の人間らしい。表向きは家電の大手企業・・・でも裏じゃ何をやっているのか分からない連中だ。あそこの社長は手に入れたい物はどんな手を使ってでも手に入れる恐ろしい人だとスターシアは言ってた。奴らに見つかる前に此処を離れなくては」 ゴトン! 十三を寝かしつけた雪がキッチンに戻り、守の言葉を聞いて持っていた尿瓶を落としてしまった。 幸い蓋付きのプラスチックだったため、中身はこぼれなかった。 「また・・・いなくなってしまうの?古代君が悲しむわ・・・」 「雪、俺が此処にいたら君たちに迷惑がかかってしまう・・・。俺はスターシアを・・・愛してしまったんだ。澪子、志郎にすまんと伝えてくれ!」 ダ!っと走り去ろうとする守を澪子が追い封筒に入った50万円を握らせた。 「待って!守さん!・・・コレ、少ないけど持っていって」 「澪子・・・」 守は澪子の澄んだ瞳を見つめた。大学時代の二人の甘い一時が脳裏をかすめる。同期だった志郎と勝負の末に身を引いた守、だが、この事を澪子は知らない。 「真田さん!新商品発表会の招待状が発送されましたよ。いよいよですねぇ〜」 南部電気新商品開発部は来月、新スカルダートホテル「冬月」の間で行われる新商品発表会の準備でごった返していた。志郎はここの技師長であり、開発部部長だ。彼のコネで南部電気のメールデリバリーのアルバイトをしている相原がデリバリーワゴンを押しながら入ってきた。 「オイ!バイト!部長にむかって真田さんとは何だ!真田部長と呼ばんか!」 「あ、すいません・・・」 入り口にいた社員に怒鳴られた相原を見て志郎は苦笑い。相原はゆきかぜ荘のやとわれ管理人で普段はご近所の「真田さん」と呼んでいる。いや、それ以前に趣味が合う親しい間柄だ。 「いいよ、真田さんで」 志郎のデスクへメールを届けにきた相原に微笑む。 「忙しそうですねぇ。最近、望遠鏡覗いてないでしょ?この間のペルセウス座流星群見ました?」 「残念ながら」 「冬にまた、みんなで遠出して見に行きましょうよ流星群」 「・・・そうだな、みんなでな。」 志郎は呑気な相原がうらやましかった。 「オイ!相原!そこにいたか・・・、探したんだぞ!・・・あ、真田さん、お疲れさまです」 南部電気の御曹司、南部康雄が汗まみれで走り込んできた。 「お前なにやってんだよ」 「オヤジに新商品発表会の招待者名簿に目を通しておけって言われて・・・そんなことはどうでもイイ!相原、お前招待状全部出したのか?」 当たり前じゃんとばかりに頷く相原。南部の気迫で志郎はすこし退き気味だった。 「招待者の中にガミラス・エレクトロニクスの社長の名前があったぞ!いったい誰なんだよピックアップしたの!」 「そ、そんなの俺がしるわけないだろぉ〜・・・俺バイトだし、第一、何千人も来るんだよ?べつに・・・」 志郎は青ざめていた。ガミラス・エレクトロニクスは現社長就任から大量のリストラ計画を実施し、倒産寸前だったところを日本屈指にまで復興させた・・・その中心人物が来るというのだ。 そして、その人物は守と駆け落ちしたスターシアの婚約者。 つづく 次回予告:進に忍び寄る影!?ゆきかぜ荘の持ち主とは・・・? |
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