|
昼メロ劇場 第二十四話
|
|||||
|
第二十四話 不穏な動き
正月を過ぎても、病院の前に「ら〜めん徳川亭」と書かれた白いバンが止まっている。病院側には営業許可を取っているせいか、病院関係者達もおしよせ、ちょっとしたにぎわいになっている。太田がニコニコ笑いながらそそくさとどんぶりを洗い、徳川のかわりに島が参加して手際良くラーメンを出していた。 「やっぱり島さんがいないとど〜もうまくいかなくて〜〜」 「それはお前がまだまだだってことだ。いつまでたっても下働きじゃ、ガールフレンドも出来んなぁ〜」 「俺は腹一杯食える方がガールフレンドできるより嬉しいっすよ」 島が苦笑いしてラーメンざるで麺を梳くってはちゃっちゃと鳴らしながらぼそっとつぶやく。 「お前が明るいおかげで俺は救われるよ」 「はい?」 「いや、べつに。お前はいつもお気楽だなって言ったんだ」 そこに志郎、南部、相原が現れた。 「島さん。どうやら加藤先輩にどえらい頼みをされたんですって?」 「ホストになってくれだなんて・・・随分突飛な事を言うもんですね」 「どうでもいいけど、ラーメン食べるの?食べないの?」 南部が指を三本出した。 「だが・・・思うに加藤が人に何かを頼むというのは初めてなんじゃないのか?いや、俺が知る限りだが・・・」 「ええ、そうですよ。真田さん。彼奴は人に頼る事をしない奴です。でもよりによって・・・」 「島さんがいやなら俺やってみようかな?」 ぼそっと南部が言うと相原がげらげらと笑い出した。 「えー!南部がホストなんて考えられないよ」 「うるせぇな、これでも眼鏡とったら古代先輩と見分けがつかないくらいなんだからな!」 「へぇ〜〜〜。それって自分が二枚目だって言ってるってこと?さーすが御曹子。自信過剰〜〜!」 志郎がラーメンをすすりながら静かに笑った。正月休みをほとんど病院で過ごす事になった志郎としては、この二人の存在はいい気晴らしになる。 「古代に黒虎・・・妙なところで接点ができたが・・・これで黒幕が誰だか見当が付いた・・・南部、相原・・・お前たちにちょっと手伝ってほしい事があるんだ」 「真田さんもホストになるんですか?」 南部が真面目に聞いてきた。相原がラーメンをぶっと吹きそうになったところ、一瞬早く太田がぶっと吹いた。どこからともなくざるが太田に向かって飛んできた。 「まじめな話だ。今度のガミラス電気の新商品発表パーティーの招待客リストに俺の名前が無い。俺はここのところのトラブルで技術スタッフから降ろされるんだ。だが、南部、悪いんだが、社長に代わって俺が祝辞の言葉が言える様にしてくれないか?」 「なんでまた?だって真田さん、技術スタッフからの退陣要請がでてるんですよ?どうやって親父の代わりに?」 「そこをなんとかしてくれ。なんとか・・・・お前に力になってほしいんだ」 志郎は眼光鋭く南部を見据えるとそう言った。ラーメンをすすりながらだが、どうやら小さくなった声のトーンもかなり真面目だ。 「それと相原・・・。お前はガミラス電気の社長宅の電話記録を入手してくれ・・・できればコンピューターのサーバーにアクセスして・・・メールのリストを・・・・」 相原の目が飛び出さん勢いで広がった。志郎にぐっと近付き、囁くような声で訴えた。 「な、なんでまた・・・そんな危険なこと・・・出来ない事無いですけど・・・違法ですよ?ハッキングは」 「分かって頼んでる・・・俺はお前のその腕を買って南部電気に呼び寄せたんだ。俺が思うに・・・かなりの使途不明金があるはずなんだ・・・裏帳簿でも手に入れば・・・」 横で聞いていた島が眉間にしわを寄せて顔を突っ込んできた。 「真田さん?何か・・・やばいことをしようとしてませんか?」 「・・・・島・・・内緒だぞ。もし、何か起きた場合・・・すべての責任は俺がとる・・・・もう・・・がまんできん」 一方、澪子は十三の看病のため、ずっと家にいた。あの日、加藤と山本が刺されたクリスマスの日。二人の止血処置をしている佐渡の後ろで、ただ愕然と見ているしか無かった澪子。そして、守と今回の一件ですっかり具合を悪くしてしまった十三。真田宅は静かなものだった。 「澪子・・・・病院にいかんでいいのかね?わしの事など・・・気にせんでもいい」 「お義父様、そんなわけにいきません。それに・・・」 「それに?」 「私は・・・守さん、スターシアさんを初め・・・・明さんや加藤さんまで・・・。皆私のせいです。私が悪いんです!」 十三は泣き崩れた澪子をベッドに横たわったまま見つめていた。 「それは違う・・古代やスターシアを守ってやれなかったのはわしのせいだ、息抜きに遊んでこいとお前に言ったのもわしだ。たまたまそれが黒虎だった・・・それだけの事だ・・・。澪子、責めるならわしを責めなさい。自分ではなく・・・ゴホッ!ゴホッ!」 「お義父様・・・」 十三ももう長くはない・・・ふとそんな予感が過る。早く、元の生活に戻りたいと澪子の心は呟いていた。 つづく 次回予告:命がけの逃走・・・ |
|||||