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昼メロ劇場 第十五話
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第十五話:黄昏
山本は山崎に対する加藤の必死の訴えによって黒虎をクビになることは免れたものの、長期謹慎処分をくらっていた。とうぜん給料が出るわけでもなく、する事もなく、マンションに帰っても加藤と顔を合わせるのが辛く、日中は黒虎の近くの神社の公園のベンチで菓子パンを頬張る毎日だった。疲れた営業マンがベンチで居眠り、群れる鳩は山本の付近に集まりだしていた。 「こっち来るなよ。お前らにやる飯なんてねぇんだよ」 次々とよってくる鳩を睨みつける。秋ともなると日暮れは速く、気がつけば辺りは薄暗くなり出していた。 黒虎のメンバーが店に顔を出すのは開店準備担当を任されている平田以外、大抵が18時。店長・加藤の弟でNo.1である四郎はいつもより早く店の付近に姿を現していた。 「よぉ〜〜〜、四郎の檀那。今日はまた浮かない顔して」 この辺りでは有名な客寄せのオヤジ、ラムが声をかけた。ピンクの半被とはちまき姿でちょうどショーパブの看板を出していた。 「見てご覧よ。今日はサーベラーとサーダの二人が踊るんだ。この間の分を挽回するよぉ」 「この間のルパン三世のコスプレショーはさんざんだったらしいですね」 落ち着いた声でラムの言葉に答えた。 「いやぁ〜、ウェイターのラーゼラーが次元大介によく似てたもんでねえ。他がさんざんだったよ。君がルパンだったら盛り上がったかもな」 「角刈りだけでしょ、似てるのは」 お互い苦笑した。すると突然ラムの表情が硬くなり、四郎に近づいて小声で話した。 「アニキは写真の件で怒ってるんだって?」 「やっぱり噂は貴方のところにも・・・。ドメラーズのヤツ・・・」 「ドメラーズに殴り込みをかけるのはやめておけよ。あそこはガミラス電気の息がかかってる。バックにはコレだ!」 コレといいながら頬に指で線を書く・・・すなわちヤクザを現している。 「アニキじゃないんですから、殴り込みなんて。・・・ただ、許せない事は許せない、俺もNo.2がいないと仕事に張り合いが無いんですよ」 「しかし本当にドメラーズの連中がやったのかねぇ?・・・」 その時、二人の横を黒ベンツが通り過ぎた。四郎は「じゃぁ!」とラムに挨拶して黒ベンツを追った。すでにドメラーズにいたホスト達がドメルを出迎える。ドメルと入れ替わりにアルフォンがベンツに乗って駐車場へと走らせた。 「ドメルさん」 「・・・?」 一斉にドメラーズのホスト達が睨みをきかせる。四郎は臆せずドメルに歩み寄った。 「黒虎のNo.1の四郎です。写真の件でちょっと・・・」 「写真?何の事だ。黒虎に言いがかりをつけられるような事をした覚えはないが」 「ウチのNo.2の写真です。・・・困るんですよ、ああいうことをされては」 四郎がもう一歩近づこうとするとミルが目前に進み出た。 「クレームがあるなら本社の方へといってもらえませんかね」 ドメルを先頭にドメラーズのメンバーは店内へと入っていく。一番最後についていくミルはずっと四郎をにらんだままだった。 店に入りながらドメルが呟いた。 「あの写真はウチでばらまいた事になっているのか?・・・誰がそんなことを?」 しかし、ドメルを取り囲んでいたホスト達は首を傾げていた。 「そうか・・・。ホスト同士の結束が堅いというのがますますもって気に入らない。この際、No.1とNo.2を潰してしまうのも悪くあるまい・・・ミル、手を汚す仕事はヒスにやらせればよい。ただし大事にならぬようにと伝えておけ」 そういって受話器の「切」ボタンをおすとタランがうやうやしく受話器をデスラーから受け取った。それと同時にスターシアがデスラーの部屋に入ってきた。 「デスラー!」 ウェディングドレスの仮縫いが終わったばかりで彼女の髪にはパールの髪飾りがついたままだった。 「スターシア、聞き耳を立てるとは良い趣味ではないな・・・それより挙式の準備はもういいのかね」 髪に触れようとしたデスラーの手を払うスターシア。 「貴方は私と結婚して父の遺産を手に入れ・・・会社を大きくするだけでは満足なさらないのですか?」 「気にいらぬものは気に入らぬ。それだけの事。私のすることに口出しは慎みたまえ、スターシア・・・」 しかしスターシアはデスラーに涙を流して訴えかけた。 「守さんは何処にいるんです?無事なんですか?貴方は守さん以外にもまた人を苦しめようとしている・・・私は許せません!」 「タラン!」 その一言でタランはスターシアの前に進み出て部屋から連れ出した。 一方、日が暮れてもまだ公園にいる山本は肌寒さに震えながら携帯電話を取り出した。ストラップに揺れるマスコット「宇宙怪獣バラノドン」を見ると、澪子と初めて会ったときの事を思い出した。 プルルル・・・ 澪子の携帯が鳴る。ちょうど夕飯の支度をし始めていた。 「もしもし・・・」 画面は非通知だったが、携帯を持たない佐渡が良くかけてくるので気にせず出た。しかし相手は無言。 「もしもし佐渡先生ですか?・・・もしもし?・・・どちら様ですか?・・・」 「・・・・・・・・会いたく・・・なった。・・・また、来てよ」 電話の向こうの声に今度は澪子が黙ってしまった。山本からだった。力のない声だが、店にいるときのように甘えた言葉をかけてきたのだ。 「ねぇ・・・・」 「・・・・明君・・・私・・・」 澪子が話し出した瞬間、電話を切ってしまった。澪子の前ではもうホストになりきれない自分にどうしようもない感情を覚えた。そればかりか、今、彼は長期謹慎中で店に立つことはできない筈だ・・・。携帯電話を握りしめ、悔しさと切なさで 肩を振るわせて泣いた。 「澪子・・・」 つづく 加藤の本心とは・・・ |
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